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横浜地方裁判所 平成5年(わ)1946号 判決 1994年4月19日

主文

1  被告人甲野一郎を懲役一年六月及び罰金五〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一万円を一日に換算した期間、同被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から四年間右懲役刑の執行を猶予する。

2  被告人乙野二郎を懲役一年及び罰金三〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一万円を一日に換算した期間、同被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人甲野一郎は、衆議院議員甘利明を推薦し支持する政治団体「茅ヶ崎甘利明の会」(昭和六二年一二月二四日設立届出、平成五年二月二四日解散届出)の代表者として、同団体に対する寄附金の受入れ等の業務に従事していたものであり、丙野三郎は「茅ヶ崎甘利明の会」の会計責任者をしていたものである。

被告人乙野二郎は、同様の政治団体「甘利明を育てる会」(昭和六二年一二月二四日設立届出、平成五年二月二四日解散届出)の代表者として、同団体に対する寄附金の受入れ等の業務に従事していたものであり、丁野四郎は「甘利明を育てる会」の会計責任者をしていたものである。

第一  政治資金規正法違反

一1  (平成元年分の「茅ヶ崎甘利明の会」の収支報告書虚偽記入)

被告人両名は、丙野三郎及び丁野四郎と共謀のうえ、神奈川県選挙管理委員会に提出すべき平成元年分の「茅ヶ崎甘利明の会」の収支報告書に虚偽の記入をしようと企て、実際には、Bほか一八名からの寄附がなく、乙野二郎ほか四名に対する政治活動資金の支出がなかったにもかかわらず、被告人甲野一郎において、平成二年三月ころ、神奈川県茅ヶ崎市<番地略>の被告人甲野一郎方で、平成元年分の「茅ヶ崎甘利明の会」の収支報告書を作成するにあたり、

(1)その収入項目「寄附の内訳」欄に、前記のBほか一八名からいずれも平成元年四月四日に一〇〇万円ないし一五〇万円の寄附があった旨(別表1―1―1記載のとおり)の虚偽の記入をし、

(2)その支出項目「政治活動費の内訳」欄に、前記の乙野二郎ほか四名に対しいずれも同年五月一〇日にそれぞれ四〇〇万円の政治活動資金の支出があった旨(別表1―1―2記載のとおり)の虚偽の記入をし、

これを、平成二年四月一九日、横浜市中区日本大通一番地の神奈川県選挙管理委員会に提出した。

2  (平成元年分の「甘利明を育てる会」の収支報告書虚偽記入)

被告人両名は、丙野三郎及び丁野四郎と共謀のうえ、神奈川県選挙管理委員会に提出すべき平成元年分の「甘利明を育てる会」の収支報告書に虚偽の記入をしようと企て、実際には、Bほか一八名からの寄附がなく、乙野二郎ほか三名に対する政治活動資金の支出がなかったにもかかわらず、被告人両名において、平成二年三月ころ、被告人甲野一郎方で、平成元年分の「甘利明を育てる会」の収支報告書を作成するにあたり、

(1)その収入項目「寄附の内訳」欄に、前記のBほか一八名からいずれも平成元年四月四日に一〇〇万円ないし一五〇万円の寄附があった旨(別表1―2―1記載のとおり)の虚偽の記入をし、

(2)その支出項目「政治活動費の内訳」欄に、前記の乙野二郎ほか三名に対しいずれも同年七月三日にそれぞれ三〇〇万円の政治活動資金の支出があった旨(別表1―2―2記載のとおり)の虚偽の記入をし、

これを、平成二年四月一九日、神奈川県選挙管理委員会に提出した。

二1  (平成二年分の「茅ヶ崎甘利明の会」の収支報告書虚偽記入)

被告人両名は、丙野三郎及び丁野四郎と共謀のうえ、神奈川県選挙管理委員会に提出すべき平成二年分の「茅ヶ崎甘利明の会」の収支報告書に虚偽の記入をしようと企て、実際には、Eほか一六名からの寄附がなく、乙野二郎ほか四名に対する政治活動資金の支出がなかったにもかかわらず、被告人甲野一郎において、平成三年三月ころ、被告人甲野一郎方で、平成二年分の「茅ヶ崎甘利明の会」の収支報告書を作成するにあたり、

(1)その収入項目「寄附の内訳」欄に、前記のEほか一六名からいずれも平成二年一月二〇日に一〇〇万円ないし一五〇万円の寄附があった旨(別表2―1―1記載のとおり)の虚偽の記入をし、

(2)その支出項目「政治活動費の内訳」欄に、前記の乙野二郎ほか四名に対しいずれも同年五月一〇日にそれぞれ四〇〇万円の政治活動資金の支出があった旨(別表2―1―2記載のとおり)の虚偽の記入をし、

これを、平成三年三月二八日、神奈川県選挙管理委員会に提出した。

2  (平成二年分の「甘利明を育てる会」の収支報告書虚偽記入)

被告人両名は、丙野三郎及び丁野四郎と共謀のうえ、神奈川県選挙管理委員会に提出すべき平成二年分の「甘利明を育てる会」の収支報告書に虚偽の記入をしようと企て、実際には、Dほか一七名からの寄附がなかったにもかかわらず、被告人両名において、平成三年三月ころ、被告人甲野一郎方で、平成二年分の「甘利明を育てる会」の収支報告書を作成するにあたり、

(1)その収入項目「寄附の内訳」欄に、前記のDほか一七名からいずれも平成二年一月二〇日に一〇〇万円ないし一五〇万円の寄附があった旨(別表2―2記載のとおり)の虚偽の記入をし、

これを、平成三年三月二八日、神奈川県選挙管理委員会に提出した。

三1  (平成三年分の「茅ヶ崎甘利明の会」の収支報告書虚偽記入)

被告人両名は、丙野三郎及び丁野四郎と共謀のうえ、神奈川県選挙管理委員会に提出すべき平成三年分の「茅ヶ崎甘利明の会」の収支報告書に虚偽の記入をしようと企て、実際には、Eほか一六名からの寄附がなく、乙野二郎ほか四名に対する政治活動資金の支出がなかったにもかかわらず、被告人両名において、平成四年三月ころ、被告人甲野一郎方等で、平成三年分の「茅ヶ崎甘利明の会」の収支報告書を作成するにあたり、

(1)その収入項目「寄附の内訳」欄に、前記のEほか一六名からいずれも平成三年一月二一日に一〇〇万円ないし一五〇万円の寄附(別表3―1―1記載のとおり)があった旨の虚偽の記入をし、

(2)その支出項目「政治活動費の内訳」欄に、前記の乙野二郎ほか四名に対しいずれも同年三月四日にそれぞれ四〇〇万円の政治活動資金の支出があった旨(別表3―1―2記載のとおり)の虚偽の記入をし、

これを、平成四年三月二六日、神奈川県選挙管理委員会に提出した。

2  (平成三年分の「甘利明を育てる会」の収支報告書虚偽記入)

被告人両名は、丙野三郎及び丁野四郎と共謀のうえ、神奈川県選挙管理委員会に提出すべき平成三年分の「甘利明を育てる会」の収支報告書に虚偽の記入をしようと企て、実際には、Eほか一六名からの寄附がなかったにもかかわらず、被告人両名において、平成四年三月ころ、被告人甲野一郎方等で、平成三年分の「甘利明を育てる会」の収支報告書を作成するにあたり、

(1)その収入項目「寄附の内訳」欄に、前記のEほか一六名からいずれも平成三年一月二一日に一〇〇万円ないし一五〇万円の寄附(別表3―2記載のとおり)があった旨の虚偽の記入をし、

これを、平成四年三月二六日、神奈川県選挙管理委員会に提出した。

第二  所得税法違反

一  (被告人甲野一郎関係)

1 (平成元年分・別表A―1)

被告人両名は、丙野三郎及び丁野四郎と共謀のうえ、偽りにより甲野一郎の平成元年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は二四九六万四〇〇〇円で、これに対する所得税の額は八三二万〇三三八円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は一三九万二六〇〇円であるのにかかわらず、平成二年二月二六日、藤沢税務署(神奈川県藤沢市朝日町一番地一一号)において、同税務署長に対し、甲野一郎が平成元年中に得た雑所得(四四〇万円)を許上せず、同人が同年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九九万円)を計上し、課税総所得金額は一七五七万四〇〇〇円で、これに対する所得税の額は四八六万七九三八円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると二〇五万九七六二円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額三四五万二三〇〇円を免れた。

2 (平成二年分・別表A―2)

被告人両名は、丙野三郎及び丁野四郎と共謀のうえ、偽りにより甲野一郎の平成二年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は二九二八万六〇〇〇円で、これに対する所得税の額は一〇四八万一三三七円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は一七二万六三〇〇円であるにもかかわらず、平成三年二月二七日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、甲野一郎が平成二年中に得た雑所得(四〇〇万円)を計上せず、同人が同年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(三〇〇万円)を計上し、課税総所得金額は二二二八万六〇〇〇円で、これに対する所得税の額は六九八万一三三七円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると一七七万三六四三円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額三四九万九九〇〇円を免れた。

3 (平成三年分・別表A―3)

被告人両名は、丙野三郎及び丁野四郎と共謀のうえ、偽りにより甲野一郎の平成三年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は三一一五万三〇〇〇円で、これに対する所得税の額は一一四〇万六一三八円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は一六〇万九〇〇〇円であるのにかかわらず、平成四年二月二五日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、甲野一郎が平成三年中に得た雑所得(四七五万円)を計上せず、同人が同年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(三〇〇万円)を計上し、課税総所得金額は二三四〇万三〇〇〇円で、これに対する所得税の額は七五三万一一三八円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると二二六万五九一二円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額三八七万四九〇〇円を免れた。

二  (被告人乙野二郎関係)

1 (平成元年分・別表B―1)

被告人両名は、丙野三郎及び丁野四郎と共謀のうえ、偽りにより乙野二郎の平成元年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は九四九万六〇〇〇円で、これに対する所得税の額は一九四万八八〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は六〇万八七〇〇円であるのにかかわらず、平成二年三月一三日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、乙野二郎が平成元年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九四万三六九八円)を計上し、課税総所得金額は六五五万二〇〇〇円で、これに対する所得税の額は一〇六万五六〇〇円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると二七万四五〇〇円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額八八万三二〇〇円を免れた。

2 (平成二年分・別表B―2)

被告人両名は、丙野三郎及び丁野四郎と共謀のうえ、偽りにより乙野二郎の平成二年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は一一九一万七〇〇〇円で、これに対する所得税の額は二八六万六八〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は八〇万〇一〇〇円であるのにかかわらず、平成三年三月一四日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、乙野二郎が平成二年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九九万円)を計上し、課税総所得金額は八九二万七〇〇〇円で、これに対する所得税の額は一七七万八一〇〇円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると二八万八六〇〇円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額一〇八万八七〇〇円を免れた。

3 (平成三年分・別表B―3)

被告人両名は、丙野三郎及び丁野四郎と共謀のうえ、偽りにより乙野二郎の平成三年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は九三〇万二〇〇〇円で、これに対する所得税の額は一八九万〇六〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は三七万三二〇〇円であるのにかかわらず、平成四年三月一〇日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、乙野二郎が平成三年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九三万二八九一円)を計上し、課税総所得金額は六三六万九〇〇〇円で、これに対する所得税の額は一〇一万〇七〇〇円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると五〇万六七〇〇円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額八七万九九〇〇円を免れた。

三  (丙野三郎関係)

1 (平成元年分・別表C―1)

被告人両名は、丙野三郎及び丁野四郎と共謀のうえ、偽りにより丙野三郎の平成元年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は一〇三三万九〇〇〇円で、これに対する所得税の額は二〇九万一〇〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は一二〇万〇七〇〇円であるのにかかわらず、平成二年三月一四日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、丙野三郎が平成元年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九九万円)を計上し、課税総所得金額は七三四万九〇〇〇円で、これに対する所得税の額は一一六万〇一〇〇円となり、実際納付税額は二六万九八〇〇円である旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額九三万〇九〇〇円を免れた。

2 (平成二年分・別表C―2)

被告人両名は、丙野三郎及び丁野四郎と共謀のうえ、偽りにより丙野三郎の平成二年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は一五〇七万七〇〇〇円で、これに対する所得税の額は三九九万二九〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は二八一万三五〇〇円であるのにかかわらず、平成三年三月一二日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、丙野三郎が平成二年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九九万円)を計上し、課税総所得金額は一二〇八万七〇〇〇円で、これに対する所得税の額は二七九万六九〇〇円となり、実際納付税額は一六一万七五〇〇円である旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額一一九万六〇〇〇円を免れた。

3 (平成三年分・別表C―3)

被告人両名は、丙野三郎及び丁野四郎と共謀のうえ、偽りにより丙野三郎の平成三年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は二一〇三万四〇〇〇円で、これに対する所得税の額は六四八万二七〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は四八七万八六〇〇円であるのにかかわらず、平成四年三月一三日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、丙野三郎が平成三年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九九万円)を計上し、課税総所得金額は一八〇四万四〇〇〇円で、これに対する所得税の額は五一八万三三〇〇円となり、実際納付税額は三五七万九二〇〇円である旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額一二九万九四〇〇円を免れた。

四  (丁野四郎関係)

1 (平成元年分・別表D―1)

被告人両名は、丙野三郎及び丁野四郎と共謀のうえ、偽りにより丁野四郎の平成元年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は一九七六万一〇〇〇円で、これに対する所得税の額は五八九万三九五六円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は一四七万七五〇〇円であるのにかかわらず、平成二年三月一七日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、丁野四郎が平成元年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(三〇〇万円)を計上し、課税総所得金額は一六七六万一〇〇〇円で、これに対する所得税の額は四六九万三九五六円となり、実際納付税額は二七万七五〇〇円である旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、その差額一二〇万円を免れた。

2 (平成二年分・別表D―2)

被告人両名は、丙野三郎及び丁野四郎と共謀のうえ、偽りにより丁野四郎の平成二年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は二三五八万五〇〇〇円で、これに対する所得税の額は七七九万七三〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は一三〇万〇五〇〇円であるのにかかわらず、平成三年三月一六日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、丁野四郎が平成二年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九九万円)を計上し、課税総所得金額は二〇五九万五〇〇〇円で、これに対する所得税の額は六三〇万二三〇〇円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると一九万四四四〇円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、その差額一四九万四九〇〇円を免れた。

3 (平成三年分・別表D―3)

被告人両名は、丙野三郎及び丁野四郎と共謀のうえ、偽りにより丁野四郎の平成三年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は二八三一万一〇〇〇円で、これに対する所得税の額は一〇一五万九八〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は二三三万一九〇〇円であるのにかかわらず、平成四年三月一八日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、丁野四郎が平成三年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九九万円)を計上し、課税総所得金額は二五三二万一〇〇〇円で、これに対する所得税の額は八六六万四八〇〇円となり、実際納付税額は八三万六九〇〇円である旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、その差額一四九万五〇〇〇円を免れた。

五  (その余の者の関係・平成元年分)

1 (A関係・別表4―1)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びAと共謀のうえ、偽りによりAの平成元年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は二八三八万八〇〇〇円で、これに対する所得税の額は一〇〇三万九〇〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は一二二万三六〇〇円であるのにかかわらず、平成二年三月一五日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、Aが平成元年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九九万円)を計上し、課税総所得金額は二五三九万八〇〇〇円で、これに対する所得税の額は八五四万四〇〇〇円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると二七万一三五〇円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額一四九万四九〇〇円を免れた。

2 (B関係・別表4―2)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びBと共謀のうえ、偽りによりBの平成元年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は九〇二万二〇〇〇円で、これに対する所得税の額は一六三万一九七五円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると二五二万三一六一円の還付を受けることになるにもかかわらず、平成二年二月二一日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、Bが平成二年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二七八万三八五二円)を計上し、課税総所得金額は六二三万八〇〇〇円で、これに対する所得税の額は七九万六七七五円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると三三五万八三六一円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額八三万五二〇〇円を免れた。

3 (C関係・別表4―3)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びCと共謀のうえ、偽りによりCの平成元年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は五三三万八〇〇〇円で、これに対する所得税の額は七六万六〇〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は一万九八〇〇円であるのにかかわらず、平成二年三月一二日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、Cが平成元年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(一八四万八七五〇円)を計上し、課税総所得金額は三四八万九〇〇〇円で、これに対する所得税の額は三九万六二〇〇円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると三五万円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額三六万九八〇〇円を免れた。

4 (D関係・別表4―4)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びDと共謀のうえ、偽りによりDの平成元年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は一七七二万四〇〇〇円で、これに対する所得税の額は五一八万九六〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は五〇七万〇五〇〇円であるのにかかわらず、平成二年三月一五日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、Dが平成元年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九九万円)を計上し、課税総所得金額は一四七三万四〇〇〇円で、これに対する所得税の額は三九九万三六〇〇円となり、実際納付税額は三八七万四五〇〇円である旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額一一九万六〇〇〇円を免れた。

5 (E関係・別表4―5)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びEと共謀のうえ、偽りによりEの平成元年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は六九〇万六〇〇〇円で、これに対する所得税の額は一一七万一八〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は二六万七〇〇〇円であるのにかかわらず、平成二年三月八日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、Eが平成元年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(一九九万円)を計上し、課税総所得金額は四九一万六〇〇〇円で、これに対する所得税の額は六八万三二〇〇円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると二二万一六〇〇円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額四八万八六〇〇円を免れた。

6 (F関係・別表4―6)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びFと共謀のうえ、偽りによりFの平成元年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は二五〇七万八〇〇〇円で、これに対する所得税の額は八六三万九〇〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は五三七万九七〇〇円であるのにかかわらず、平成二年三月三日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、Fが平成元年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九九万円)を計上し、課税総所得金額は二二〇八万八〇〇〇円で、これに対する所得税の額は七一四万四〇〇〇円となり、実際納付税額は三八八万四七〇〇円である旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額一四九万五〇〇〇円を免れた。

7 (G関係・別表4―7)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びGと共謀のうえ、偽りによりGの平成元年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は一二〇二万九〇〇〇円で、これに対する所得税の額は二九一万一六〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は一八万七六〇〇円であるのにかかわらず、平成二年三月一三日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、Gが平成元年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九九万円)を計上し、課税総所得金額は九〇三万九〇〇〇円で、これに対する所得税の額は一八一万一七〇〇円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると九一万二三〇〇円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額一〇九万九九〇〇円を免れた。

8 (H関係・別表4―8)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びHと共謀のうえ、偽りによりHの平成元年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は二九五九万三〇〇〇円で、これに対する所得税の額は一〇八九万六五〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は三八〇万九五〇〇円であるのにかかわらず、平成二年三月一四日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、Hが平成元年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九九万円)を計上し、課税総所得金額は二六六〇万三〇〇〇円で、これに対する所得税の額は九四〇万一五〇〇円となり、実際納付税額は二三一万四五〇〇円である旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額一四九万五〇〇〇円を免れた。

9 (I関係・別表4―9)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びIと共謀のうえ、偽りによりIの平成元年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は一九八四万八〇〇〇円で、これに対する所得税の額は六〇三万九二〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると一二五万九三六五円の還付を受けることになるにもかかわらず、平成二年三月一七日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、Iが平成元年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(三〇〇万円)を計上し、課税総所得金額は一六八四万八〇〇〇円で、これに対する所得税の額は四八三万九二〇〇円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると二四五万九三六五円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、その差額一二〇万円を免れた。

10 (J関係・別表4―10)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びJと共謀のうえ、偽りによりJの平成元年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は一四八一万三〇〇〇円で、これに対する所得税の額は四〇二万五二〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると八七万三〇五〇円の還付を受けることになるにもかかわらず、平成三年四月四日、鎌倉税務署(神奈川県鎌倉市佐助一丁目九番三〇号)において、同税務署長に対し、Jが平成元年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九九万円)を計上し、課税総所得金額は一一八二万三〇〇〇円で、これに対する所得税の額は二八二万九二〇〇円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると二〇六万九〇五〇円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、その差額一一九万六〇〇〇円を免れた。

11 (K関係・別表4―11)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びKと共謀のうえ、偽りによりKの平成元年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は二二〇七万七〇〇〇円で、これに対する所得税の額は六八九万六三二五円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は二五万三二〇〇円であるのにかかわらず、平成二年二月二一日、玉川税務署(東京都世田谷区玉川二丁目一番七号)において、同税務署長に対し、Kが平成元年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九九万円)を計上し、課税総所得金額は一九〇八万七〇〇〇円で、これに対する所得税の額は五四九万二六二五円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると一一五万〇四五五円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額一四〇万三六〇〇円を免れた。

12 (L関係・別表4―12)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びLと共謀のうえ、偽りによりLの平成元年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は一九三三万七〇〇〇円で、これに対する所得税の額は五八三万四八〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は一〇一万八三〇〇円であるのにかかわらず、平成二年二月二三日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、Lが平成元年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九九万円)を計上し、課税総所得金額は一六三四万七〇〇〇円で、これに対する所得税の額は四六三万八八〇〇円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると一七万七六六〇円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額一一九万五九〇〇円を免れた。

13 (M関係・別表4―13)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びMと共謀のうえ、偽りによりMの平成元年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は一七三三万四〇〇〇円で、これに対する所得税の額は五〇三万三六〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は五四万八八〇〇円であるのにかかわらず、平成二年三月一五日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、Mが平成元年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九九万円)を計上し、課税総所得金額は一四三四万四〇〇〇円で、これに対する所得税の額は三八三万七六〇〇円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると六四万七一九四円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額一一九万五九〇〇円を免れた。

14 (N関係・別表4―14)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びNと共謀のうえ、偽りによりNの平成元年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は一八一九万七〇〇〇円で、これに対する所得税の額は五三七万八八〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は一〇一万八三〇〇円であるのにかかわらず、平成二年二月二三日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、Nが平成元年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九九万円)を計上し、課税総所得金額は一五二〇万七〇〇〇円で、これに対する所得税の額は四一八万二八〇〇円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると一七万七六六〇円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額一一九万五九〇〇円を免れた。

六  (その余の者の関係・平成二年分)

1 (A関係・別表5―1)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びAと共謀のうえ、偽りによりAの平成二年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は二四三三万円で、これに対する所得税の額は八二〇万一五〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると六〇万〇三四〇円の還付を受けることになるにもかかわらず、平成三年三月一五日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、Aが平成二年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九一万円)を計上し、課税総所得金額は二一四二万円で、これに対する所得税の額は六七四万六五〇〇円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると二〇五万五三四〇円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額一四五万五〇〇〇円を免れた。

2 (B関係・別表5―2)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びBと共謀のうえ、偽りによりBの平成二年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は三八七万八〇〇〇円で、これに対する所得税の額は三三万三九〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると四四六万四三三〇円の還付を受けることになるにもかかわらず、平成三年三月八日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、Bが平成二年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(一四九万円)を計上し、課税総所得金額は二三八万八〇〇〇円で、これに対する所得税の額は九万七一〇〇円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると四七〇万一二三〇円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額二三万六八〇〇円を免れた。

3 (C関係・別表5―3)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びCと共謀のうえ、偽りによりCの平成二年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は八一〇万四〇〇〇円で、これに対する所得税の額は一五二万八八〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は六万〇三〇〇円であるのにかかわらず、平成三年三月一一日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、Cが平成二年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(一九九万円)を計上し、課税総所得金額は六一一万四〇〇〇円で、これに対する所得税の額は九三万一八〇〇円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると五三万六七〇〇円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額五九万七〇〇〇円を免れた。

4 (D関係・別表5―4)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びDと共謀のうえ、偽りによりDの平成二年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は二二九六万二〇〇〇円で、これに対する所得税の額は七五八万一〇〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は七四七万三二〇〇円であるのにかかわらず、平成三年三月一五日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、Dが平成二年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九九万円)を計上し、課税総所得金額は一九九七万二〇〇〇円で、これに対する所得税の額は六〇八万八八〇〇円となり、実際納付税額は五九八万一〇〇〇円である旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額一四九万二二〇〇円を免れた。

5 (E関係・別表5―5)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びEと共謀のうえ、偽りによりEの平成二年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は六五〇万円で、これに対する所得税の額は一〇五万円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は一八万三六〇〇円であるのにかかわらず、平成三年三月一一日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、Eが平成二年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(一九九万円)を計上し、課税総所得金額は四五一万円で、これに対する所得税の額は六〇万二〇〇〇円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると二六万四四〇〇円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額四四万八〇〇〇円を免れた。

6 (O関係・別表5―6)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びOと共謀のうえ、偽りによりOの平成二年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は七四一万七〇〇〇円で、これに対する所得税の額は一四〇万六四六六円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると二六万一〇二四円の還付を受けることになるにもかかわらず、平成三年三月一四日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、Oが平成二年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二七八万五七二九円)を計上し、課税総所得金額は四六三万二〇〇〇円で、これに対する所得税の額は七〇万七七六六円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると九五万九七二四円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額六九万八七〇〇円を免れた。

7 (F関係・別表5―7)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びFと共謀のうえ、偽りによりFの平成二年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は二五八七万円で、これに対する所得税の額は九〇三万五〇〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は四七七万六〇〇〇円であるのにかかわらず、平成三年三月八日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、Fが平成二年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九九万円)を計上し、課税総所得金額は二二八八万円で、これに対する所得税の額は七五四万円となり、実際納付税額は三二八万一〇〇〇円である旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額一四九万五〇〇〇円を免れた。

8 (G関係・別表5―8)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びGと共謀のうえ、偽りによりGの平成二年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は一二六〇万三〇〇〇円で、これに対する所得税の額は三一〇万八九五〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は二六万七九〇〇円であるのにかかわらず、平成三年三月一四日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、Gが平成二年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九九万円)を計上するなどし、課税総所得金額は九六一万三〇〇〇円で、これに対する所得税の額は一九一万九四〇〇円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると九二万一六〇〇円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額一一八万九五〇〇円を免れた。

9 (H関係・別表5―9)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びHと共謀のうえ、偽りによりHの平成二年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は三三四一万九〇〇〇円で、これに対する所得税の額は一二八〇万九五〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は四三万四一〇〇円であるのにかかわらず、平成三年三月一五日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、Hが平成二年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九九万円)を計上し、課税総所得金額は三〇四二万九〇〇〇円で、これに対する所得税の額は一一三一万四五〇〇円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると一〇六万〇八八八円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額一四九万四九〇〇円を免れた。

10 (I関係・別表5―10)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びIと共謀のうえ、偽りによりIの平成二年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は一〇〇八万五〇〇〇円で、これに対する所得税の額は二一三万四〇〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると五七万一三七六円の還付を受けることになるにもかかわらず、平成三年三月七日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、Iが平成二年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(三〇〇万円)を計上し、課税総所得金額は七〇八万五〇〇〇円で、これに対する所得税の額は一二二万五五〇〇円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると一四七万九八七六円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額九〇万八五〇〇円を免れた。

11 (J関係・別表5―11)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びJと共謀のうえ、偽りによりJの平成二年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は九三五九万一〇〇〇円で、これに対する所得税の額は二五一三万九三二九円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は一九三六万四六〇〇円であるのにかかわらず、平成三年六月二〇日、鎌倉税務署において、同税務署長に対し、Jが平成二年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九九万円)を計上し、課税総所得金額は九〇六〇万一〇〇〇円で、これに対する所得税の額は二三六四万四三二九円となり、実際納付税額は一七八六万九六〇〇円である旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、その差額一四九万五〇〇〇円を免れた。

12 (P関係・別表5―12)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びPと共謀のうえ、偽りによりPの平成二年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は二四六三万六〇〇〇円で、これに対する所得税の額は六七九万六三二〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は二八一万二五〇〇円であるのにかかわらず、平成三年三月一六日、杉並税務署(東京都杉並区成田東四丁目一五番八号)において、同税務署長に対し、Pが平成二年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九九万円)を計上し、課税総所得金額は二一六四万六〇〇〇円で、これに対する所得税の額は五四四万〇六〇〇円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると一四五万六八〇〇円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、その差額一三五万五七〇〇円を免れた。

13 (K関係・別表5―13)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びKと共謀のうえ、偽りによりKの平成二年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は二三五八万六〇〇〇円で、これに対する所得税の額は七六五万〇八二五円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は五四万七八〇〇円であるのにかかわらず、平成三年二月二七日、玉川税務署において、同税務署長に対し、Kが平成二年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九九万円)を計上し、課税総所得金額は二〇五九万六〇〇〇円で、これに対する所得税の額は六一五万五八二五円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると九四万七一五五円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額一四九万四九〇〇円を免れた。

14 (Q関係・別表5―14)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びQと共謀のうえ、偽りによりQの平成二年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は五八三五万一〇〇〇円で、これに対する所得税の額は二五〇三万七五〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は一七七万八四〇〇円であるのにかかわらず、平成三年三月一五日、四谷税務署(東京都新宿区三栄町二四番地)において、同税務署長に対し、Qが平成二年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(三〇〇万円)を計上し、課税総所得金額は五五三五万一〇〇〇円で、これに対する所得税の額は二三五三万七五〇〇円となり、実際納付税額は二七万八四〇〇円である旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額一五〇万円を免れた。

七  (その余の者の関係・平成三年分)

1 (A関係・別表6―1)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びAと共謀のうえ、偽りによりAの平成三年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は三三六一万一〇〇〇円で、これに対する所得税の額は一二八一万〇二五〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は七九万三二〇〇円であるのにかかわらず、平成四年三月一六日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、Aが平成三年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(三〇〇万円)を計上し、課税総所得金額は三〇六一万一〇〇〇円で、これに対する所得税の額は一一三一万〇二五〇円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると七〇万六七五〇円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額一四九万九九〇〇円を免れた。

2 (C関係・別表6―2)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びCと共謀のうえ、偽りによりCの平成三年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は九〇九万九〇〇〇円で、これに対する所得税の額は一八二万六五〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は二万九九〇〇円であるのにかかわらず、平成四年三月九日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、Cが平成三年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二八一万九七五〇円)を計上し、課税総所得金額は六二八万円で、これに対する所得税の額は九八万〇八〇〇円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると八一万五八〇〇円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額八四万五七〇〇円を免れた。

3 (D関係・別表6―3)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びDと共謀のうえ、偽りによりDの平成三年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は一五九一万二〇〇〇円で、これに対する所得税の額は四四六万四八〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は三五九万八六〇〇円であるのにかかわらず、平成四年三月一六日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、Dが平成三年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九九万円)を計上し、課税総所得金額は一二九二万二〇〇〇円で、これに対する所得税の額は三二六万八八〇〇円となり、実際納付税額は二四〇万二六〇〇円である旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額一一九万六〇〇〇円を免れた。

4 (E関係・別表6−4)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びEと共謀のうえ、偽りによりEの平成三年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は七七六万九〇〇〇円で、これに対する所得税の額は一四三万〇七〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は二四万四七〇〇円であるのにかかわらず、平成四年三月一六日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、Eが平成三年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(一九九万円)を計上し、課税総所得金額は五七七万九〇〇〇円で、これに対する所得税の額は八五万五八〇〇円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると三三万〇二〇〇円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額五七万四九〇〇円を免れた。

5 (O関係・別表6―5)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びOと共謀のうえ、偽りによりOの平成三年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は一一四二万九〇〇〇円で、これに対する所得税の額は二六七万一六〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は一〇八万三七〇〇円であるのにかかわらず、平成四年三月一三日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、Oが平成三年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九九万円)を計上し、課税総所得金額は八四三万九〇〇〇円で、これに対する所得税の額は一六三万一七〇〇円となり、実際納付税額は四万三八〇〇円である旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額一〇三万九九〇〇円を免れた。

6 (F関係・別表6―6)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びFと共謀のうえ、偽りによりFの平成三年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は二九一七万六〇〇〇円で、これに対する所得税の額は一〇六八万八〇〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は三八二万二〇〇〇円であるのにかかわらず、平成四年三月一六日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、Fが平成三年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(三〇〇万円)を計上し、課税総所得金額は二六一七万六〇〇〇円で、これに対する所得税の額は九一八万八〇〇〇円となり、実際納付税額は二三二万二〇〇〇円である旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額一五〇万円を免れた。

7 (G関係・別表6―7)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びGと共謀のうえ、偽りによりGの平成三年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は一一九四万二〇〇〇円で、これに対する所得税の額は二八七万六八〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は一二万八八〇〇円であるのにかかわらず、平成四年三月九日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、Gが平成三年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九九万円)を計上し、課税総所得金額は八九五万二〇〇〇円で、これに対する所得税の額は一七八万五六〇〇円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると九六万二四〇〇円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額一〇九万一二〇〇〇円を免れた。

8 (H関係・別表6―8)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びHと共謀のうえ、偽りによりHの平成三年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は五九六七万二〇〇〇円で、これに対する所得税の額は一八〇五万五三〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は八四三万六〇〇〇円であるのにかかわらず、平成四年三月一六日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、Hが平成三年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九九万円)を計上し、課税総所得金額は五六六八万二〇〇〇円で、これに対する所得税の額は一六五六万〇三〇〇円となり、実際納付税額は六九四万一〇〇〇円である旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額一四九万五〇〇〇円を免れた。

9 (I関係・別表6―9)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びIと共謀のうえ、偽りによりIの平成三年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は六八〇万九〇〇〇円で、これに対する所得税の額は一一四万二七〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると九〇〇〇円の還付を受けることになるにもかかわらず、平成四年三月一三日、藤沢税務署において、同税務署長に対し、Iが平成三年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二四一万一二五〇円)を計上し、課税総所得金額は四三九万八〇〇〇円で、これに対する所得税の額は五七万九六〇〇円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると五七万二一〇〇円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額五六万三一〇〇円を免れた。

10 (P関係・別表6―10)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びPと共謀のうえ、偽りによりPの平成三年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は一五九四万六〇〇〇円で、これに対する所得税の額は四二七万八四〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は三四万九四〇〇円であるのにかかわらず、平成四年三月一七日、杉並税務署において、同税務署長に対し、Pが平成三年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九九万円)を計上し、課税総所得金額は一二九五万六〇〇〇円で、これに対する所得税の額は三〇八万二四〇〇円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると八四万六五二〇円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、その差額一一九万五九〇〇円を免れた。

11 (K関係・別表6―11)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びKと共謀のうえ、偽りによりKの平成三年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は二六六五万円で、これに対する所得税の額は九一〇万七一〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は七八万二八〇〇円であるのにかかわらず、平成四年三月四日、玉川税務署において、同税務署長に対し、Kが平成三年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九九万円)を計上し、課税総所得金額は二三六六万円で、これに対する所得税の額は七六一万二一〇〇円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると七一万二一九〇円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額一四九万四九〇〇円を免れた。

12 (Q関係・別表6―12)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びQと共謀のうえ、偽りによりQの平成三年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は六七五〇万四〇〇〇円で、これに対する所得税の額は二九六一万四〇〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除した金額は一七九万九二〇〇円であるのにかかわらず、平成四年三月一六日、四谷税務署において、同税務署長に対し、Qが平成三年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九九万円)を計上し、課税総所得金額は六四五一万四〇〇〇円で、これに対する所得税の額は二八一一万九〇〇〇円となり、実際納付税額は三〇万四二〇〇円である旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額一四九万五〇〇〇円を免れた。

13 (R関係・別表6―13)

被告人両名は、丙野三郎、丁野四郎及びRと共謀のうえ、偽りによりRの平成三年分の所得税を免れようと企て、同人の同年分の正当な課税総所得金額は二三八二万円で、これに対する所得税の額は七九四万八〇〇〇円であり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると一〇三万五一〇一円の還付を受けることになるにもかかわらず、平成四年三月一一日、熱田税務署(名古屋市熱田区花表町七番一七号)において、同税務署長に対し、Rが平成三年中に所得税法上の寄付金控除の対象となる架空の特定寄付金を支出したように装って、これによる控除金額(二九九万円)を計上し、課税総所得金額は二〇八三万円で、これに対する所得税の額は六四五万三〇〇〇円となり、その額から源泉徴収をされた所得税の額を控除すると二五三万〇一〇一円の還付を受けることとなる旨を記載した所得税の確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、その差額一四九万五〇〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)<省略>

(法令の適用)

罰条

判示第一の一の1・2、二の1・2、三の1・2の各所為

刑法六〇条、政治資金規正法一二条一項、二五条一項

判示第二の一の1ないし3、二の1ないし3、三の1ないし3、四の1ないし3、五の1ないし14、六の1ないし14、七の1ないし13の各所為

刑法六〇条、所得税法二三八条一項

刑種の選択

判示第一の各罪につき 禁錮刑選択

判示第二の各罪につき 懲役刑と罰金刑の併科

併合罪の処理 刑法四五条前段

懲役及び禁錮につき 刑法四七条本文、一〇条

被告人甲野一郎 刑及び犯情の最も重い判示第二の一の3の罪の懲役刑に法定の加重

被告人乙野二郎 刑及び犯情の最も重い判示第二の二の3の罪の懲役刑に法定の加重

罰金につき 刑法四八条二項

主刑

被告人甲野一郎 懲役一年六月及び罰金五〇〇万円 (求刑 同)

被告人乙野二郎 懲役一年及び罰金三〇〇万円(求刑 同)

労役場留置

被告人両名 刑法一八条(金一万円を一日に換算した期間)

刑の執行猶予 刑法二五条一項

被告人甲野一郎 その懲役刑について四年間執行を猶予

被告人乙野二郎 その懲役刑について三年間執行を猶予

(量刑の理由)

被告人甲野一郎は、過去において、知人からの誘いを受け、本件と同様の方法で政治団体に対して寄付をしたように装って所得税の寄付金控除を受けたことがあったが、本件においては、みずから、衆議院議員の推薦支持を会則に掲げる政治団体を名目的に組織し、知人らを誘い込んだうえ右政治団体に寄付したことを装い架空の寄付金控除額を計上して所得税を逋脱することを計画し、被告人乙野二郎及び丙野三郎、丁野四郎らとともに政治団体を組織し、十数名の知人に対しても誘いをかけ、連年、右の方法により、自分ら及び誘いに応じた者らの所得税の逋脱を行っていたものである。

個人が政治資金規正法第四条第四項に規定する政治活動に関する寄附をした場合に、当該寄附にかかる支出金のうち、衆議院議員などの職にある者を推薦し又は支持することを本来の目的とする団体に対するもので政治資金規正法第一二条の規定による報告書により報告されたものは、租税特別措置法の規定により所得税法第七八条第二項の「特定寄付金」とみなされて、特定寄付金の額(その額がその年分の総所得金額等の百分の二十五に相当する金額をこえる場合は、当該百分の二十五に相当する金額)について寄付金控除の対象となるものであり、また、政治資金規正法第二二条の二は、各年中において、政党及び政治資金団体以外の同一の者に対しては、百五十万円を超える政治活動に関する寄附はできない旨を規定している。

本件における所得税逋脱は、政治団体に対する寄付について寄付金控除が受けられる制度を悪用したものであるといわねばならない。被告人らは、本件犯行にあたり、名目的な政治団体を二団体設立して、寄付者から受けることを装う寄付金の額はそれぞれ寄付の量的制限枠いっぱいの一五〇万円、合計三〇〇万円とすることを原則とし、多額の架空寄付金控除額を計上して所得税を免れていたものである。各年における逋脱額の合計は、平成元年分が二二三二万円余(逋脱率平均約二四パーセント)、平成二年分が二三一四万円余(逋脱率平均約一七パーセント)、平成三年分が二三〇三万円余(逋脱率平均約一七パーセント)で、三年分の逋脱額の総合計は六八五〇万円にものぼるものであって、所得税逋脱事案としては大規模なものである。なお、現時点では、被告人両名を含め各逋脱者において正当な税額を内容とする修正申告がなされており、このことは所得税逋脱の共同正犯者たる被告人両名にとって有利に考慮されるべきである。

次に、政治資金規正法違反について、同法は政治団体の会計責任者に政治資金の収支に関する所定の事項を選挙管理委員会に対し報告させることによって、政治資金の面から政治団体の活動を国民の監視と批判の下に置き、政治活動の公明公正を確保することを目的としているが、被告人らは、政治団体の代表者として同法の趣旨を尊重し誠実にその義務を果たさなければならないのに、前記のとおり所得税逋脱の手段として各納税義務者に架空の寄付金を計上するため、収支報告書にその者らからの寄附金があった旨の虚偽記入をし、更には寄附金合計額に対応する金額程度の政治活動資金の支出があった旨の虚偽記入をして選挙管理委員会に提出し、記入事項に関して詳細な審査がなされないのをよいことに毎年同様の犯行を重ねていたものであって、被告人らの行為は政治資金規正法の趣旨を蔑ろにするものであったといわねばならない。

被告人甲野について言えば、政治団体への寄付に関する寄付金控除の制度を悪用することを計画し、実際に政治活動を行う意図もあったにせよ、主として所得税逋脱の手段にするために政治団体を組織して届け出て、毎年知人らを誘ったうえ大規模な所得税逋脱をくりかえし、ふたつの政治団体の実質的な責任者として収支報告書の虚偽記入を行っていたものであって、その刑事責任は重大である。弁護人は、被告人甲野が「架空領収証」を発行することによって納税義務者たる逋脱罪の共犯者から集めた金員は、政治団体として推薦支持する議員を支援するための政治活動に費やしたものである点を指摘しているが、本件においては自分らを含めて十数名の納税義務に関し連年多額の所得税を免れたこと自体について責任を問われているのであって、前記の金員の使途がいかなる性質のものと評価されるかは所得税逋脱罪における刑事責任の軽重に直接影響するものではない。

被告人乙野は被告人甲野の提案に応えて本件犯行に加担することを決意し、政治団体の代表者となるなど政治団体の組織に関与し、収支報告書の虚偽記入も分担して実行したものである。したがって、その刑事責任は重大であるといわねばならないが、本件犯行において被告人甲野に比し従属的な地位にあったこともまた明らかである。

所得税逋脱罪に関しては被告人両名に対し懲役刑と罰金刑を併科することとしたうえで、本件各罪に対して主文の刑を決定したものであるが、被告人両名ともに、本件犯行の発覚・捜査を機にそれぞれ公的な地位から退くなど既に社会的制裁を受けていると言えること、また、両名とも当公判廷において本件犯行について反省の態度を示していることなどを考慮し、懲役刑についてはいずれもその執行を猶予することとした。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官秋山敬)

別表<省略>

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